2009年10月30日金曜日

「臨地実習」を終えて

衛生技術科 3年 Mさん
神戸常盤大学キャンパスレポート We より

 「チンッ」電子レンジの音から病理部での病院実習は始まった。組織切片を銀染色するには、通常60℃の孵卵器で1時間程度反応させるのだが、病院では電子レンジで30秒…。学内実習での待ち時間は何だったのか。他の部署に行っても機械化が進み、どんな検査も迅速に結果を出せるようになっていた。「こんな時代に臨床検査技師は必要なのか…」そんな不安と疑問を抱きながらの実習であった。しかしそんな思いは吹っ飛んでいった。どの部署でも共通していた事は、機械で測定した結果が異常値だと、学内実習と同様にマニュアルで検査して結果を判断していたのだ。つまり機械を操っているのは人であり、検査の原理や方法を知らないと正確な検査結果を出すことやトラブルの対処も出来ないのだ。疾患の診断や治療経過を知るためには無くてはならない検査。検査のスペシャリストである臨床検査技師は必要なのだと改めてこの実習を通して思えた。

 命に関わる仕事の重要性や恐さ、また楽しさも教えて下さった実習先の先生方、実習生を快く見学させて下さった患者さん達に心から感謝します。有難うございました。


学内実習風景

2009年10月2日金曜日

不思議 私たちのからだ ~「免疫学」

医療検査学科 畑中
神戸常盤大学キャンパスライフ応援サイト まるまるたまご 教職員ブログより

 新型インフルエンザが話題になっています。前期は1週間休校になりました。後期、流行しないことを望むばかりです。

 ところで、ヒトには外部から侵入する病原体(異物)を攻撃して、私たちを守る「免疫」というシステムがあります。前述の新型インフルエンザウイルスに対しても威力を発揮します。免疫システムは病原体を攻撃しますが、不思議なことに、自分自身は決して攻撃しません。正常に作動する場合、免疫システムは「自己」と「非自己」を厳密に認識し、「非自己」のみを攻撃するのです。この攻撃は病原体だけでなく、移植などの時にも起こります。免疫系は遺伝子の型が合わない移植片を異物として認識し、攻撃します。その結果拒絶反応が起こります。私たちは意識することはありませんが、体内では日々、免疫系と異物との間で熾烈な戦いが繰り広げられているのです。

 ところが妊娠では不思議なことがおこります。胎児は母親と父親の遺伝子を半分ずつ持っています。つまり胎児は母親にとって半分は異物になるのですが、なぜか母親の免疫システムは胎児を攻撃しません。さらに、代理母では胎児は100%異物であるのに、なぜか胎児は攻撃されません。妊娠では免疫系を制御するシステムが作動し、胎児が免疫の攻撃から守られるらしいのですが、その詳細は解明されたわけではありません。

 何百万年もの人類の歴史の中で、当たり前に行われてきた妊娠・出産ですが、実は未だに神秘のベールに包まれているのです。私たちの体にはまだ解明されていないことが、いっぱいあります。科学者の眼で、自分の体の不思議を見てみませんか?