2010年6月28日月曜日

臨床検査技師の世界

医療検査学科 永尾
神戸常盤大学キャンパスライフ応援サイト まるまるたまご 教職員ブログより



 臨床検査技師の仕事は人の命に関わり、その検査結果に基づいて医師が診断・治療をするという大変責任の重い仕事です。
その分やりがいがあり、一生の仕事として選択しても悔いがない仕事だと思います。自身の努力で世界の第一発見者になることも可能です。努力すればその分だけ報われる大変興味の持てる仕事だともいえます。何と言っても自身の仕事が、かけがえのない人の命を救うことになるのですからこれほどやりがいのある仕事は、他にそうないのではないでしょうか。



 一言に臨床検査技師の仕事と言っても結構細分化されていて、幅広いものがあります。
大別して患者さんを直接検査する生理機能検査と、尿や血液等患者さんの身体から採取した試料を用いて検査する検体検査に分けられます。生理機能検査は、さらに心電図、心エコー、脳波、肺機能検査などに分けられ、検体検査は、生化学検査、血液学検査、血清学検査、輸血・移植学検査、細菌学的検査、一般検査、病理学検査などに分けられます。そして、これらすべての検査を習得して行う人と、どれか1つを専門として行う人に区分されます。職域も大学の医学部の研究室で働く技師、大学病院・国公立・私立の病院の検査室で働く技師、保健所、製薬会社、検査センターで働く技師等、広い分野で自身に適した職場を選択して、活躍することができます。中には博士号を取得し、海外で研究する技師などもいます。



 私は臨床検査技師になってから赤十字病院、赤十字血液センタ-で輸血検査を主な仕事として来ました。
そして結果として、短期大学卒ながらも論文で博士号を取得することができました。自身が携わった輸血検査の中で赤血球、白血球、血小板の各血液型とその抗体とそれらの血液型が異なることで起こる母児不適合妊娠の検査では、生命の尊うさを体感できました。55歳からはその経験を活かし、現在の大学で輸血・移植分野の教鞭を執っています。私が輸血検査を始めた頃は、結果がすぐ患者さんの生死に関わること、検査内容に緊急性があることなどからあまり自ら進んで検査に携わる人はいなかったように思います。そのことで稀少価値が生じ、輸血検査を行っていたことが自分の人生にとってはプラスに働いたのではと思っています。














日本赤十字社ホームページより





 血液型の検査はおもしろく夢がありました。
特殊な遺伝形式を示すAB型(シスAB型:AB型とO型の親子関係が成立する血液型)の人は、なぜか徳島県の出身者であることが多いという地域集積性を持つのです。また、ABO血液型についてはすべて分かっていると思っていたのに未だ不明な点があり、明らかに親子で間違いないと思われる親子が、従来のABO血液型の遺伝学説では説明できないのです。極めて少数例ですが謎で、まだ解決できないでいます。スウェーデンに多いp(スモール・ピー)型という血液型が何故か、瀬戸内海のある島の出身者の方に多く見つかるのです。これなどは遠い昔の十字軍の東征、チンギス・ハーンのヨーロッパ遠征、シルク-ロードによる東西の交流などなど、遙か古の人の交流を想像させ、私たちに大きな夢とロマンを与えてくれます。




 自然界には分かっているようで分からないことが、まだまだたくさんあります。
そして「新しい発見はそれまでの常識の中にはない」という当たり前のことを仕事の中で学びました。私は幸運にも「世界第1例」の事例をいくつか経験する機会に恵まれました。後から考えて、その時にそれまでの常識の中で処理をして終わっていたら「世界第1例」を経験する事はなかったと思います。頭で考える前に身体を動かし、事実を確認することを行ったからこそ、新しい発見に遭遇し、心を揺さぶられる喜びを経験できたと思っています。また、自身の行った仕事の1つに「サイトメガロウイルス陰性者の確保と登録制度の導入」という日本で最初の仕事があります。多くの仕事仲間の助けでなし得た仕事ですが、骨髄移植の成功率の向上とその後の脳死患者をドナー(臓器提供者:心臓)とする心臓移植に多いに貢献できました。我が国の再開第1例から10数例まで、脳死ドナーによる心臓移植手術時に必要なサイトメガロウイルス陰性血液の確保で関与できた事は、望外の喜びでした。生涯で1人の人の命を救える事に関係できることがあれば、素晴らしい人生だと考えていた私にとって臨床検査技師という職種を選んだことで、幾人もの人の命を救うことに間接的にでも関与できたことはこの上ない喜びでした。本当に臨床検査技師の仕事を生涯の仕事として選んでよかったとつくづく思っています。今までに幾度か「早く朝になってくれないかな~。早く職場に出て思いついたアイデアを確認してみたい」と思ったことがありました。そのときは充実感、生き甲斐、やりがいを全身で感じていました。限りある人生に意味を持たせて生きてみませんか!辛いこともありますが楽しいですよ。是非、臨床検査技師の世界へ飛び込んで来てください。世界を相手に仕事ができますし、大いに夢が見れて、やりがいがありますよ。

2010年6月14日月曜日

日本臨床検査医学会 近畿支部例会が開催されました

6月5日(土)に本学で、第55回日本臨床検査医学会 近畿支部例会が開催されました。
近畿一円から百名以上の医師や臨床検査技師の皆さんが参加して、「新しい検査技術と知識の情報」というテーマの講演やシンポジウムを熱心に聴いておられました。

  プログラム:
   ・企業セミナー 「新しい分析技術」
   ・特別講演 「GLP-1シグナルに基づく最新の糖尿病治療」
   ・教育講演 「アディポネクチンと糖尿病」
   ・シンポジウム 「災害が起きた時、病院検査技師にできることは
             ~過去の経験と未来展望~」

シンポジウムでは、阪神淡路大震災の時に神戸大学病院で臨床検査技師長をしておられた本学医療検査学科の向井先生の司会で、総合病院の集中豪雨被災経験および救命救急センターでの医療活動最前線の経験談と、災害拠点の今後の取組みについて発表があり、活発なディスカッションが行われました。

臨床検査は日進月歩。
患者さんのために最良の検査を行おうと、常に前進しているのです。
当日、例会に参加した在学生にも良い刺激になったことと思います。

例会長を勤められた
本学医療検査学科長の片山先生







2010年6月2日水曜日

2010年6月のオープンキャンパスのお知らせ

2010年6月19日(土)の午後1時から、神戸常盤大学のオープンキャンパスが開かれます。
学科紹介・入試説明やキャンパスツアーなどのプログラムの他に、医療検査学科では実際に学生実習の一部を体験していただく「模擬実習」を行います。
「神戸常盤の医療検査学科では、どんなことを学ぶのかな?」「臨床検査技師って何をするのかな?」
というあなた。是非自分の目と手を使って体験して下さい。
もちろん、保護者の方の参加も歓迎です。

6月のオープンキャンパスでは下記の実習を予定しています。
 ●ヨーグルトの乳酸菌を染色して顕微鏡で観察……生きた菌と染色した菌を比べてみよう!
 ●色々な微生物を顕微鏡で観察しよう!……カビ、酵母菌、○△菌?
 ●手洗いチェッカーであなたの手洗いをチェック!……本当にきれいに洗えてる?
 ●顕微鏡でヒトの標本を見てみよう!……細胞診断、血液検査、染色体検査の標本など
 ●体組成成分分析システムを使って、体の部位別の筋肉・脂肪・水分量を測定しよう!
 ●環境測定……紫外線、騒音、照度の測定など。今日の紫外線強度は…?

微生物検査  









好酸球(白血球の一種)









子宮癌細胞